第10回「明日の農業を支える若き力(有限会社ぶどうばたけ 三森基史さん)」【前編】

有限会社ぶどうばたけ(以下、ぶどうばたけ)は、山梨県甲州市で48種類もの生食用のぶどうの栽培を行い、市場への出荷のほか、観光ぶどう園の経営やぶどうの加工品の製造・販売も手がける農業法人です。また、敷地内にある別会社、菱山中央醸造有限会社では手絞りでワインの醸造も行っています(いずれの会社も代表取締役は三森斉(みつもり ひとし)さん)。今回は、期待の後継者である三森基史(もとふみ)さんにお話を伺いました。お話の内容を前編・後編の2回に分けてご紹介します。
 

【前編】きっかけはお客様からの「ありがとう」の言葉~農業は思っていたよりおもしろい~

三森基史さん
基史さんは今年で26歳、就農して2年目を迎えます。東京農業大学を卒業後、JAEC(公益社団法人国際農業者交流協会)の海外農業研修プログラムで約2年間をアメリカのコロラド州で過ごし、帰国後にご両親が経営するぶどうばたけに入社されました。現在、主に圃場管理や外交販売を担当しながら、経営についても学んでいます。
 
ぶどう園
就農を決意したきっかけは、中学生の頃に遡ります。ぶどう園は7~10月頃までのシーズン中にはお客様が集中して訪れ、目の回るような忙しさになります。シーズン中の忙しい日、中学生の基史さんもお手伝いのためお客様をぶどう狩りにご案内することになりました。ぶどうはメロンやキウイなどと違い、収穫して置いておいてもそれ以上は熟しません。すっぱいぶどうを狩ってしまうとそのぶどうはいつまで経ってもすっぱいままです。そのためどれが甘くておいしいかがわかる人がお客様をご案内しなければなりません。当時はまだ中学生でしたが、小さい頃からご両親の仕事を見ていたため、基史さんにはどれがおいしいかわかりました。そのため、お客様においしいぶどうをご案内することができ、お客様から「ありがとう」と感謝の言葉をかけられたそうです。そのお客様は、「また来ました」と翌年も基史さんに案内してもらうためにぶどう園を訪れました。
基史さんにとってもその出来事がとても嬉しく、「自分で作った物を自分で売ることができたらどれだけおもしろいだろう」と思うようになったそうです。この出会いが基史さんが農業に興味を持つきっかけになりました。
 
基史さんに実際に就農した感想を尋ねたところ、「思っていたよりおもしろい」と力強い回答がありました。就農前も家業として農業を手伝うことはあったものの、就農後は自分の仕事として農業に向き合うようになり、考え方が変わったそうです。次につながるように一つひとつの仕事の意味を考えるようになり、その仕事を何のためにやっているかがわかるとおもしろく、それがお客様との話題にもなります。栽培にあたり、今年基史さんが苦労したのが晩腐(おそぐされ)病でした。果樹栽培においては収穫のチャンスは年に1回だけ。収入もそのほとんどが7~9月に集中します。収量を確保し、会社として安定して収益を上げるため、必要な農薬を散布して対策しています。「農薬を使わずに収量が減っては意味がない。栽培・管理において農薬は必要」とお話ししてくださいました。
 
「従業員」として4頭のヤギもいます。ヤギはぶどう園の下草を食べて草刈りをしてくれます。ぶどう園を訪れるお客様にも大人気です。
このように日々工夫を凝らしながら仕事に取り組む基史さん。会社の経営についても自分なりのしっかりとした考えをお持ちです。後編では、基史さんの将来のビジョン、ぶどうばたけの農福連携への取り組み、菱山中央醸造の特徴あるワインについてご紹介予定です。
 
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