NICHINO 日本農薬株式会社

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明日の農業を考える明日の農業を考える

第1回「おいしいものをお客様に提供したい」

シーズンにはすべてを直売されています。リピーター中心のお客様の車で、ご自宅の敷地はいっぱいになるそうです。

埼玉県加須市で、1.2haの梨を中心に複合経営を展開する関口富男(せきぐちとみお)さん。梨以外にも、水稲やビール麦の採種など大規模に栽培しています。「手間やコストをかけずに」という言葉をよく耳にする世の中ですが、関口さんのやり方はむしろその反対です。どうすれば本物をつくれるか、おいしいものをつくれるかを一番に考え、栽培方法を工夫しています。通常は棚の上に枝を這わせます。実がなる高さが均一になり、収穫しやすいためです。一方、関口さんは梨の生理的特徴を活かすため、枝を棚よりも下に縛って管理しています。手間はかかりますが、やはり味に違いが出るそうです。「お客様においしいものを提供したいから」。さらりとおっしゃるその言葉が印象的です。

関口富男(せきぐちとみお)さんと息子の智之(としゆき)さん

梨の栽培方法を工夫したきっかけは、実は息子の智之(としゆき)さんでした。後を継ごうと戻ってきた息子さんの身長に合わせ、棚の高さも上げました。「後継者がいなければ、このような栽培技術も眠ってしまうところだった」とのことです。智之さんにもお話を伺ってみたところ、関口さんと同じ答えが返ってきたので驚きました。「流通のための見た目ではなく、おいしい本物をお客様に届けることを大切にしたい」。想いは確実に次世代に受け継がれています。

息子の智之(としゆき)さん

新しい栽培方法の背景には、地域の仲間との強いつながりがあります。「仲間がいなければ農業はできない。仲間同士でそれぞれの持つ技術を教え合い、他人の良い技術を自分の栽培に活かす。地域全体の水準が上がれば労力は減り、栽培面積が増える」。明日の農業を考える大切なヒントを教えていただきました。

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