NICHINO 日本農薬株式会社

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農薬の基礎知識農薬・作物保護資材

農薬の剤型による分類

農薬は有効成分をムラなく農作物などに付着させて、その効果を十分に発揮させるとともに、取り扱いが便利なように有効成分(原体)に各種の補助剤などを加えて製剤しています。この製剤形態を「剤型」といいます。

登録上の剤型 商品名などで用いる剤型名 特徴等
粉剤 粉剤 農薬原体をクレー等の鉱物質微粉で希釈増量し、必要に応じて分解防止剤などを添加して、45µm以下の微粉となるように製剤したもの。そのまま使用する。
DL粉剤 登録上粉剤に該当するが、飛散(ドリフト)を少なくするため、10µm以下の微粉を少なくした増量剤を用い、更に凝集剤で、混入している微粉を凝集し、飛散しにくくした製剤。 DLはDRIFT LESSの略である。
FD剤 フローダストとも呼ばれる。登録上粉剤に該当するが、空中に漂う時間を長くする為、2µm以下の超微粉にした製剤で、ハウスの外から散布して内部に均一に行き渡るように工夫した製剤。
粒剤 粒剤 粒径300~1700µmの細粒であり、そのまま使用される。製造方法によって種々の形状があり、クレーなどの鉱物質に農薬原体を練りこんだタイプ(主に円柱状)、多孔性鉱物質に原体をしみ込ませたタイプ(主に細かい砂状)などがある。又これより粒径が大きいもので、ペレット状や、錠剤としたものもある。
1キロ粒剤
500グラム粒剤
250グラム粒剤
登録上粒剤に該当する。水稲では通常10aに3kgの粒剤が使用されていたが、その使用量を1kgや500gに減量して散布することが可能となった。これは有効成分含有量を3倍あるいは6倍にし、粒径も飛距離が出るようにやや大きめにしてある。更に少量の250g製剤も登場している。
これら少量散布のできる粒剤には、水中に沈んだ粒剤が水面に浮上して広がる自己拡散タイプのものがあり、均一に散布しなくても田水中に拡散していく。水田周辺散布で、済ませることもできる。
ジャンボ剤 登録上粒剤に該当する。1個50gの錠剤(タブレット状)や粒剤・錠剤・粉末を50gの水溶性フィルムで包んだパック剤があり、10aあたり10~20個を畦畔から水田に投げ込む製剤である。散布器具を使用しないことから省力性にすぐれている。主に除草剤が多い。
粉粒剤 粉粒剤 農薬原体を鉱物質で希釈し、その粒子の大きさにより、「微粉:45µm以下・粗粉:45~106µm・微粒:106~300µm・細粒:300~1,700µm」の組み合わせからなる製剤で、粉剤、粒剤に該当しないものを言う。そのまま使用する。
微粒剤F 登録上粉粒剤に該当。粒径が53~212µmの製剤。ドリフトが非常に少ないことから、主に空中散布で使用されてきたが、ポジティブリスト制定以降一般防除剤としても注目されている。
細粒剤F 登録上粉粒剤に該当。粒径が180~710µmの製剤。畑地用除草剤として、水利の悪い耕地でも、そのまま使えるようにしたもの。
粉末 粉状の製剤であって、他の剤型に該当しないもの。
水和剤 水和剤 水になじむ粉末状製剤で、水に懸濁させて用いる、調製液を静置すると沈殿する。
フロアブル
ゾル
SC
登録上は水和剤に分類される製剤であるが、水和剤が粉末状であるのに対して、微粉化した農薬原体に分散剤や界面活性剤を加えて、水で懸濁させ液体状に製剤したもの。静置すると分離することがあるので、調製前に良く振ってから用いる。そのまま散布するタイプ(主に水稲用除草剤)と水に希釈して散布するタイプがある。
顆粒水和剤 水和剤に結合剤などを加えて顆粒状にした製剤のこと。希釈時の粉立ちが少なく目方も量りやすい。水和剤と同様に水で希釈して使用する。また、調製液を静置すると沈殿する。
ドライフロアブル 登録上水和剤に該当する。農薬原体に界面活性剤、集合剤などを組み合わせて顆粒状にした製剤。フロアブル剤は静置すると分離したり、寒地では凍結する場合もあるが、ドライフロアブルは、固体なので分離したり凍結したりすることはない。
水溶剤 水溶剤 水溶性の粉状、粒状などの製剤で、水に溶かして用いる。有効成分は完全に水に溶けるため、調製液は沈殿しない。
顆粒水溶剤 水溶剤に集合剤などを加えて顆粒状にした製剤のこと。希釈時の粉立ちが少なく目方も量りやすい。有効成分は完全に水に溶けるため、調製液は沈殿しない。
乳剤 乳剤 水に溶けにくい農薬原体を有機溶媒に溶かし乳化剤を加えた油状液体の製剤。危険物が多い。水に希釈し乳濁した状態で使用する。
EW剤 登録上は乳剤に分類される製剤であるが、有機溶媒をほとんど水に替えているため、危険物に該当しない。また、性状はフロアブル製剤と同様である。
液剤 液剤 水溶性の成分を液体製剤としたもの。原液あるいは水でうすめて用いる。
ME液剤 水に溶けない、又は溶けにくい農薬原体を少量の有機溶媒で溶かし、界面活性剤分子(又はイオン)の集合体内部に溶解させた製剤。粒子の直径が0.1µm以下と細かく透明で刺激性が軽減され、混用性も良い。
油剤 油剤 原体そのものが油状液体製剤のもの、あるいは原体を有機溶媒に溶かした製剤。通常はそのまま用いる。
サーフ剤 形状等は油剤と同じ。水田の田面に処理し、展開させて使用する。
エアゾル 缶(ボンベ)入りのスプレー剤で、内部のガス圧で、薬剤を噴霧する。簡単に使用できるので、家庭園芸薬剤に多く見られる。
ペースト剤 ペースト(糊)状の製剤で、他の剤型に属さないもの。
くん煙剤 発熱剤、助燃剤を含んだ製剤で、燃焼により成分を煙にして、ハウス内等に煙を漂わせる。煙でいぶす事からくん煙剤という。
くん蒸剤 気化しやすい農薬原体を密閉した条件下で、気化させ、殺菌、殺虫、除草などの効力を発揮させる。気化成分で燻(いぶ)すことからくん蒸という。
塗布剤 農薬を農作物などの一部に塗布(塗りつける)、又はこれに類似する方法で使用する製剤の総称。
マイクロカプセル剤 農薬原体を高分子膜などで均一に被覆したカプセルを含有する製剤。カプセル化することにより、薬剤の効果持続性を高めるとともに、吸入毒、薬害、塗装汚染の軽減が図られている。製剤の外見はフロアブル剤と同様の液状である。
- パック剤 水溶性包装資材を使い、水和剤、粒剤などの製剤を包み込んだもの。そのまま水田等に投げ込むタイプのものと、タンクで調製するときに投入するタイプがある。濡れた手で触らないように注意する。

登録上の剤型が上記にないもの

水和硫黄剤

登録上の剤型名が「水和硫黄剤」となっており、「○○水和剤」とはなっていません。水和剤タイプの硫黄という意味です。
例:イオウフロアブル: 淡黄色水和性粘稠懸濁液体 となっており、液体です。

石灰硫黄合剤

登録上の剤型は「石灰硫黄合剤」であり、石灰と硫黄が化合し、多硫化カルシウムになっています。
例:石灰硫黄合剤: 赤褐色水溶性液体 となっており液体です。

アグロバクテリウムラジオバクター剤

微生物農薬であり、剤型は決まっていません。
例:バクテローズ: 暗褐色繊維状 の物体。
バクテリアをピートモスなどに含ませたもの。

展着剤

登録上の剤型名は「展着剤」となっており、剤型は決まっていません。
主成分は界面活性剤のため、農林水産省登録を受けていますが、農薬とは別の補助剤と呼ばれています。
例:マイリノー: 微黄色の粘稠な液体 となっており、液体です。

<当記事は2011年9月時点の登録情報や知見に基づいて作成されております>

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