NICHINO 日本農薬株式会社

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ダイバーシティ座談会(2023年度)CSR
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ダイバーシティ座談会

プロフィール

日本農薬では、バックグラウンドの異なる多様な人々が活躍しています。今回は海外出身の社員や、海外事業の担当、海外赴任中の社員を集めて座談会を行いました。

座談会メンバー

グローバルイノベーターを目指して

座談会メンバー(青木)

青木:日本農薬の強みは、自社原体を有することと、継続的に新規剤を創出できる研究開発企業であることだと思います。皆さんの地域での位置付けはいかがでしょうか。

谷村:インドでは日本のブランド力が高いうえに、Nichino India (NIN)が急成長しているので、元気のある会社として知られているようです。同業のマルチナショナル企業から転職してくる人もいますよ。

:ヨーロッパでも日本のイメージは良いのですが、市場ではやはり現地のマルチナショナル企業が強いです。ニッチなマーケットを狙ったり、農家への技術支援に力を入れて市場拡大を目指しています。

生田:Nichino America (NAI)も規模は小さいながら野菜、かんきつ、ナッツ類など主要作物向けの農薬に注力しており、お客様と密にコミュニケーションをとって柔軟なサポートができています。例えばNAIのセールスや開発担当者は、競合他社が注力できないような規模が小さい作物の生産者や農薬管理アドバイザーと密接に連携し、農薬処理適期のアドバイスなどを行っています。将来的にはアメリカの農薬企業のリーダーとして一目置かれる存在を目指したいですね。ニチノ―グループの研究開発力を活かした自社農薬に加え、生物農薬といった化学合成農薬以外の領域も拡大し、ニチノ―グループの成長ドライバーとして貢献できるようになれば良いと思います。

ボノ:農薬業界に来てまだ1年半なので、特にグローバルの事情はまだわからないところがあります。今、勉強中です。

青木:これからどんどん海外グループ会社を訪問してください。会社としては「グローバルイノベーター」を掲げていますが、それぞれどのような取り組みをしているのか教えてください。

谷村:インド市場での拡販はもちろん、海外グループ会社で唯一、原体(農薬の有効成分)の製造拠点ですから、中間体・原体をいかに安くグループに供給できるかも今の目標ですね。将来的にはグローバル生産拠点として競争力のある製造能力を獲得して、インド国内でもファーストチョイスとなる製品をいくつも擁する会社にできればと考えています。

:Nichino Europe (NEU)はBtoBビジネスがメインなので、消費者にあまり知られていません。今後は農家にまでニチノーブランドを浸透させようと取り組んでいます。日本農薬は新薬を創出する際に使用者安全性を考慮するだけでなく、環境、天敵にも優しいものを常に意識して開発しています。世界中の農家が使えるよう、開発時には日本だけではなく欧州ほか世界各地で評価を実施しています。

座談会メンバー(周)

生田:グローバル事業の強化促進のため、グローバル戦略プロジェクト(GSP)が2021年に設立されました。GSPでは、開発初期段階から海外グループ会社も参画して研究開発のスピードアップなどを図っています。GSPのひとつとしてグローバル登録会議(Global Regulatory Meeting ; GRM)が年2回あり、各国の登録担当が、各地域における自社原体の登録状況、技術的な問題、新しいガイドラインなどについて情報共有しています。

ボノ:GSPには私も1年前から参画しています。開発や登録とは別の切り口で、ブランドの浸透に向けてグローバル・グループ・ロゴの統一に取り組みました。

青木:たしかに、各国のグループ会社と上手に連携する上で情報共有は欠かせないと思います。日本でのグローバルな活動としては、農林水産省が主催するインドでの生産力向上を目的とする“J-Methods Farming”に参加し、日本での打ち合わせに加え、Nichino Indiaを通じての製品、技術を提供しています。また、同じく農林水産省主催の「グローバルフードバリューチェーン推進官民協議会」のメンバーにもなっています。

異文化ギャップの乗り越え方

座談会メンバー(谷村)

青木:仕事のなかでカルチャーギャップを感じることはありますか。私自身も海外で営業してきて、宗教的な点から握手を拒まれたこともありましたが、事前にできるだけの情報を入手しておき、相手の文化への敬意を忘れないようにしています。

谷村:戸惑うことはありませんが、やはり日本とは違う文化だなとは感じます。仕事をお願いして「できます」と言われて待っていると、いつまでもあがってこなくて何度か催促するということがよくありますね。

:ヨーロッパでは「できる」「できない」をはっきり答えますね。「明日までにお願いできますか」と頼むと、「来週にしてください」とストレートに返ってきます。余裕を持って頼むようにしたら、うまく回るようになりました。

ボノ:文化の違いとミスコミュニケーションはもちろんありますが、これまでも色々な国で働いてきたので、カルチャーショックはそれほど感じていません。言語の問題はまだ多いですが、困ったときにはオンライン辞書を使いながら周りの人たちにも相談しています。カルチャーショックについて強いて言えば、日本はミーティングが多いかな、と思います。もう慣れましたが。

谷村:インドは話好きな人が多く、放っておくと気が済むまで1時間でも2時間でも話していますよ。会議の時にスマホをいじっていることもありますし、普通に着信音が鳴る。時には電話に出て話し出すこともありました。

:こちら(欧州)では会議の時間が短いですね。1時間で設定したら必ずその前に終わります。忙しい人は1時間で3つの会議を設定している人もいます。その一方で、マンスリーミーティングでは普段別々なところで働いている皆が集まって、普段話せないことを長い時間話せる場を設けているのも良いと思います。

生田:やはり言葉の壁はあって、特に会議などは理解するのに時間がかかります。ただ職場の皆さんが親切で生活面も含めてケアしてくれるので、とても助かっています。口頭で理解できなかったことについてチャットやメールで文字にして改めて質問すると、丁寧に説明してくれます。また車社会のアメリカで運転経験のない私が無事に運転免許を取得できたのも、NAIの皆さんが全面的にサポートしてくれたからです。

青木:特に最近はグローバル化が進み、国籍やキャリアを問わず柔軟な人材配置がなされています。異なるものに対する心理的な障壁も減り、受け入れやすい環境になったと感じています。会社のサポートはどうでしょうか。

ボノ:経営企画本部で働いていますが、国籍による差別は感じませんし、仕事の内容も変わりません。話しやすい雰囲気の職場ですし、目標管理の面談など本人の希望を聞いてくれる仕組みもあって他社に比べてもフェアだと思います。日本語で書類を書くのは大変ですけどね。

座談会メンバー(ボノ)

:日本とは異なりますが、人事評価の基準や仕組みはNEUでも整備されています。もともとヨーロッパ各国から人が集まっているので、個々の違いを前提にしながらうまく調和がとれている会社だと思います。部署と部署の間で壁がなく風通しが良いですし、外国人に対する支援としては就労ビザも手厚くサポートしてくれるので、仕事に集中できています。

谷村:Nichino Indiaについていえば、人事制度の仕組みをグローバル基準にしていく必要があると思っています。東京本社のほうでグローバル人事についての議論が進められているので、将来的にはその動きと連携しながら制度改定の話が出てくるかもしれません。

生田:私自身は学会参加や圃場訪問など、米国の農薬登録規制動向や農業形態について学ぶ機会、現地の方との人脈形成の機会をいただけています。女性活躍という意味では、性別、キャリアを問わず海外出張や海外駐在している人も多いですし、まんべんなく機会は与えられていると思います。

青木:確かに、私が入社した頃は「危険だから」と女性が一人で海外出張することもほとんどなかったので、そこは大きく変わりましたね。

生田:以前よりもWeb環境が整い国を超えてのコミュニケーションの機会が増えましたが、まだ本音で話せていない部分もあるように感じています。現在の数年単位の海外赴任制度に加えて、数ヶ月単位の派遣制度(日本農薬-海外グループ会社の双方向)で多くの従業員に機会が与えられれば、各国の言語、文化、業務の進め方、農業形態の違いなどの理解が深まるはずです。また前述したGSPを通じて日ごろから活発に意見交換・情報共有することも、国籍を超えた相互理解のために非常に重要だと思います。

さらなる多様性の実現に向けて

青木:ダイバーシティの観点から、さらなる成長にむけた課題や期待はありますか。

谷村:まずはインドという大きな市場の成長にあわせて、もっと収益をあげていきたいです。それによってインドの農業や経済の発展に貢献することになりますし、グループに提供できるものも増えていくと思いますから。

:現地に来てみると、日本にいる時とはまた違う景色が見えてきます。本社の情報が少なく、背景の説明がないまま依頼が降ってくることもあります。大切なのは、事前の情報共有と伝えようという気持ち。現地の人にも理解・納得できるよう、自分が架け橋となって両者のコミュニケーションをうまく図っていきたいです。

生田:そうですね。現地から見ると、やはり相手は親会社だという遠慮はゼロではないと思います。個人的にずっと感じていたのは、親会社・子会社という表現はどうしても上下関係を意識してしまうこと。グループ経営を打ち出している今、グループ会社と呼ぶことから始めたらどうでしょうか。

座談会メンバー(生田)

ボノ:グループシナジーを作っていくために、幅広い知識や経験を共有することが必要です。GSPのように、各社員の経験や専門知識、意見を共有できる機会を作るのがよいと思います。ダイバーシティを進めるためには、過去の経験や思い込みに頼らず、フレキシブルにオープンマインドで偏見を持たない姿勢が大切です。日本国内でも、女性や外国人も含めた多様性をさらに高めていくことが重要だと思います。フレックスタイムや在宅勤務などが自由に使える働きやすい職場だということを、もっと広くアピールしてもよいのではないでしょうか。実際、私も友達からうらやましがられることが多いですよ。

青木:本当にそうですね。皆さん一人ひとりがどんどん活躍していただくことが、ダイバーシティの推進につながっていくと思います。性別、国籍にこだわらず、従業員一人一人の生活、幸福の確保に、企業としてどこまでできるかが課題でしょうか。早期でのキャリアプランの相談、個人のライフプランとのすり合わせを丁寧に指導、実施していくことが必要かと考えています。私自身はもともと研究員ということもあって、安全で役に立つ農薬の開発を通じ、日本農薬グループが各国の農業に有益かつ安心、安全な製品を供給して、世界の農業に貢献していければと考えています。

本日は皆さん、どうもありがとうございました。

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