第10回「明日の農業を支える若き力(有限会社ぶどうばたけ 三森基史さん)」【前編】
有限会社ぶどうばたけ(以下、ぶどうばたけ)は、山梨県甲州市で48種類もの生食用のぶどうの栽培を行い、市場への出荷のほか、観光ぶどう園の経営やぶどうの加工品の製造・販売も手がける農業法人です。また、敷地内にある別会社、菱山中央醸造有限会社では手絞りでワインの醸造も行っています(いずれの会社も代表取締役は三森斉(みつもり ひとし)さん)。今回は、期待の後継者である三森基史(もとふみ)さんにお話を伺いました。お話の内容を前編・後編の2回に分けてご紹介します。
【前編】きっかけはお客様からの「ありがとう」の言葉~農業は思っていたよりおもしろい~


基史さんにとってもその出来事がとても嬉しく、「自分で作った物を自分で売ることができたらどれだけおもしろいだろう」と思うようになったそうです。この出会いが基史さんが農業に興味を持つきっかけになりました。
基史さんに実際に就農した感想を尋ねたところ、「思っていたよりおもしろい」と力強い回答がありました。就農前も家業として農業を手伝うことはあったものの、就農後は自分の仕事として農業に向き合うようになり、考え方が変わったそうです。次につながるように一つひとつの仕事の意味を考えるようになり、その仕事を何のためにやっているかがわかるとおもしろく、それがお客様との話題にもなります。栽培にあたり、今年基史さんが苦労したのが晩腐(おそぐされ)病でした。果樹栽培においては収穫のチャンスは年に1回だけ。収入もそのほとんどが7~9月に集中します。収量を確保し、会社として安定して収益を上げるため、必要な農薬を散布して対策しています。「農薬を使わずに収量が減っては意味がない。栽培・管理において農薬は必要」とお話ししてくださいました。
