日本国内における外来生物対応

農業現場ではその外来生物の侵入により、農業環境が侵されたり、作物へ直接被害が及んだりと深刻化しています。
本ページでは、主な外来生物とそれに対応する製品をご紹介します。
持続可能な農業のためには、外来生物による被害が深刻化する前に対策する必要があります。
特定外来生物「ナガエツルノゲイトウ」

ーツルノゲイトウ属(Alternanthera)
ーナガエツルノゲイトウ(A. philoxeroides)
【概要】
本種は「地球上で最悪の侵略的植物」と呼ばれることもあります。
南米原産の多年生雑草のひとつで、繁殖力が非常に強く、水路や溜池を覆い尽くし、在来植物を駆逐し、水流を停滞させるなど問題となっています。
水田や畦畔に侵入し繁茂することで農業用水がせき止められたり、収穫作業に支障をきたすなど、農業場面においてもその影響は少なくありません。
【防除】
発生がごく僅かであれば、物理的に抜き取りまたは底泥ごと剥ぎ取り除去することも可能ですが、茎の断片により活発に再生し、さらに拡大する可能性もあるので注意が必要です。
水田内に入らないように、給水栓や水口にネットを取り付け、物理的に侵入を阻止することもできます。
移植水稲や水田畦畔のナガエツルノゲイトウ防除の除草剤では、「ロイヤント乳剤」が有効です。
※上記は2025年4月21日時点の登録内容に準じています。詳細については製品情報ページをご確認ください。
特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」

ーコウチュウ目(Coleoptera)
ーカミキリムシ科(Cerambycidae)
ージャコウカミキリ属(Aromia)
ークビアカツヤカミキリ(A. bungii)
【概要】
本種は東アジア原産のカミキリムシで、その名の通り首の周り(=前胸)が赤色であることが特徴です。
発生当初は主に公園や街路樹のさくらでの被害が確認されていましたが、近年ではももやうめなどの果樹園でも被害が確認されています。
さくらの名所での被害が深刻で、幼虫が木の内部を食い荒らすことで枯死し、倒木の恐れのため、伐採を余儀なくされている地域も少なくありません。
【防除】
樹木に影響を及ぼすのは本種の幼虫で、被害がある樹の根元にフラスと呼ばれる木くずと糞が混ざったものが出ています。
フラスが出ている穴に薬剤を注入したり、その樹の樹皮に薬剤を散布するなどの対策があります。
またネットを巻いて、木から出てくる成虫を他の場所へ飛んでいかないようにしたり、捕殺することも有効です。次世代を残すために移動しようとする成虫を減らすことで、次世代を生み出させないための対策になります。
■本種に登録のある薬剤
・アクセルフロアブル
→「生態」解説動画
→「防除」解説動画
→ さくらでの防除の手引き
・ハチハチフロアブル
・モスピラン顆粒水溶剤
・日農スミチオン乳剤
・日農アグロスリン水和剤
※上記は2025年4月21日時点の登録内容に準じています。詳細については製品情報ページをご確認ください。
特定外来生物「アレチウリ」

ーアレチウリ属(Sicyos)
ーアレチウリ(S. angulatus)
【概要】
北米原産のつる性植物です。
非常に繁殖力が強く、他の植物や樹木に絡みついて、農作物や在来植物を枯らしてしまうことがあります。
秋には多いもので1株当たり約25,000個の種を付けるので、広範囲かつ速やかに拡散します。
農作物の生育阻害の他にも、本種は病害(例:すいか/果実汚斑細菌病)の伝染源になりうるなど、厄介な外来生物のひとつです。
【防除】
本種を刈り込んだとしても、根やつるの残った部分から再生し、増殖し続けます。
地道な作業ですが、手で1本ずつ根元までたどって、根元から引き抜くことが重要です。
アレチウリの発生消長は長いですが、発生時期にかかわらず結実は9月下旬~10月上旬と、一定ですので、それまでに防除をするのが有効です。
アレチウリ防除の除草剤では、「サンダーボルト007」がオススメ!
※サンダーボルト007 注意事項:アレチウリ(草丈2m以内)防除に際しては 500㎖/10a以上の薬量で使用してください。
※上記は2025年4月21日時点の登録内容に準じています。詳細については製品情報ページをご確認ください。
その他の外来生物
上記に挙げた外来生物はごく一部で、農業に関係する外来生物は多くあります。植物や害虫に限らず、獣害をもたらすアライグマ、キョン、エゾシカなども特定外来生物に指定されています。(環境省HPより)
「特定」の指定はされていない外来生物として、
・アカギヒメヨコバイ
・ツマジロクサヨトウ
・トマトキバガ
など、多くの外来生物により、日本国内の生態系や在来種が影響を受けています。
!注意!
特定外来生物は発生地から運び出してはいけません。刈り取った植物断片を運搬したり、生きたまま採集した虫を飼育することは、生息地の拡大を助長させることにつながります。
被害を最小限で収めるため、発見した場合は都道府県または自治体の相談窓口、防除所、普及センターなどに速やかに通報してください。
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