農薬の技術資料に使われる用語集

農薬の技術資料やちらしなどをご覧になって、専門用語がよくわからなかったことはありませんか?ここでは技術資料によく使われる主な用語を解説しています。ご活用ください。

用語 解説
ADI (Acceptable Daily Intake) 一日摂取許容量のこと。農薬の散布された作物を、日本人の平均的な食生活で摂取量を計算し、一生涯摂取しても健康への影響が出ないと判断される、1日当たり、1kg当たり摂取量のこと。
ARfD(Acute Reference Dose) 急性参照用量のこと。ある物質を短時間(24時間以内)に摂取しても、健康への悪影響がないと推定される摂取量のことで、急性毒性試験など各種毒性試験結果に基づいて算出される。
IGR(Insect Growth Regulator) 昆虫成長制御剤、脱皮阻害(促進)剤のことで、昆虫が脱皮をするのを阻害・促進することにより、殺虫効果を発揮させる殺虫剤をいう。脱皮は昆虫に特有の現象なので、人畜や植物に対する影響は極めて少ない。
IPM(Integrated Pest Management) 総合的病害虫・雑草管理のこと。農薬による化学的防除だけではなく、天敵や農業資材、物理的防除などあらゆる技術を併用して病害虫・雑草の密度を下げ、環境への負荷をできるだけ低く抑えながら経済的な生産価値を確保する管理方法。
LC(Lethal Concentration)値 LC値はLethal Concentrationで致死濃度(ppm)のこと。代表的なLC50値とは、1回の暴露で実験対象を50%死亡させると予想される濃度で、実験データから統計学的に求める。LC50値は統計的に誤差が最も少ないため、化学物質の有害性や魚毒の強さなど安全性科学の分野で指標として用いられる。その他、薬剤に対する抵抗性(耐性)獲得程度を個体群間で比較するときなどにも用いられる。、LD値はLethal Doseで致死量(mg/kg)のこと。
LD(Lethal Dose)値 LC値参照
RAC(Resistance Action Committee)コード 国際団体CropLife International (CLI) の各種対策委員会が取りまとめた農薬の作用機構分類のことで、殺虫剤はIRAC、殺菌剤はFRAC、除草剤はHRACと称する。いずれも、抵抗性・耐性対策を効果的で持続可能なものにするために、薬剤選択の指針を使用者や関係者に提供することを目的としている。RACは「ラック」と読む。
一発処理除草剤 残効が30日以上あり、1剤で広葉雑草とイネ科雑草の両方を長期間同時に防除できる水稲除草剤の事。稲を移植してから30日間は、雑草害によりイネが生育不良を起こすので、その期間イネ科・広葉雑草を同時に抑草可能な水稲除草剤を一発処理除草剤と定義した。
ガス作用 ガス化作用ともいう。極微量の気化した有効成分を病害虫に接触させ効果を発揮する。極微量なので人畜や環境に対する影響はない。
活性 生物がある種の化合物に対し、特定の作用を受けること。農薬の場合には効果を表す事が多い。
例)この殺ダニ剤は幼虫には活性がない。⇒この殺ダニ剤は幼虫には効き目を表さない。
感受性 農薬分野では、生物がある種の化合物に対し反応を示す程度を表す。
例)感受性が高い⇒よく効く。
急性毒性 次の条件によって化学物質が投与された結果おこる有害な影響のこと。・単回投与(経口または経皮) ・24時間以内の複数回投与(経口または経皮) ・4時間の吸入暴露(吸入)
クロロシス 生理障害や肥料の過不足、農薬の薬害などにより葉の緑色が退色して白や黄色に変化する現象のこと。→ネクロシス
経口活性 殺虫剤の特性として使用される用語で、害虫が農薬を散布された茎葉・果実・根などを、もしくは散布液や農薬自体(ベイト剤など)を食べるをことによって有効成分を体内に取り込み、その効果が発揮されること。「この薬剤は主に経口活性を示す」などと言う。なお、摂食毒などとも言うが「接触」と発音が同じことから、経皮活性と混同する可能性があるので注意が必要。
経皮活性 殺虫剤の特性として使用される用語で、害虫の皮膚から有効成分が体内に取り込まれその効果が発揮されること。「この薬剤は経口活性よりも経皮活性が強い」などと言う。なお、接触作用とも言うが「摂食」と発音が同じことから、経口活性と混同する可能性があるので注意が必要。
原体 農薬の有効成分のこと。
抗菌・殺菌 殺菌剤のうち、作物へ病原菌の侵入を阻止する作用が抗菌作用、病原菌を死滅させる作用が殺菌作用。 ただし「殺菌剤」という場合には、抗菌・殺菌作用の両方を意味する事が多い。
作用機作(さようきさ) 有効成分が対象となる生物体内で効果を発揮する原理のこと。
使用回数と総使用回数 使用回数はその農薬製剤を作物に使用できる回数のこと。総使用回数とはその有効成分が含まれる農薬を作物に使用できる総回数のこと。
浸達性 有効成分が、葉の表面から裏面へしみ込む作用のこと。浸達性のみの場合には、植物体内を移動しない。
浸透性 有効成分が、植物の活動を通じ導管などを伝って植物体内で移動する事。浸透移行性ともいう。
ステージ 虫、菌、草、作物などの生育段階のこと。たとえば虫では、卵→幼虫→成虫、それぞれの段階をステージという。
スペクトル(スペクトラム) ある農薬が効果を発揮する病害虫や雑草の種類のことをいう。スペックと略称されることも多い。元々は物理学の用語で、プリズムによって分光された光のこと。
製剤 原体を使いやすく加工する技術、あるいは加工した製品のことを製剤という。原体(有効成分)だけでは農薬として使用することができない。
接触型と吸収移行型 除草剤の説明で使われることが多い用語。 接触型除草剤は、植物の葉や茎に薬剤を直接接触させて効果を発揮する除草剤。吸収移行型除草剤は茎葉、芽、根などから成分が吸収され、全体(あるいは部分的)に移動して効果を発揮する除草剤。
抵抗性 殺菌剤関連で使用される場合は、殺菌剤の有効成分に対して、農薬使用基準に準じて使用しても、期待される防除効果を発揮できない現象が繰返し観察される、病原菌個体群における感受性の遺伝的変化のこと(IRAC定義から)。
一方、除草剤関連で使用される場合は、作物が遺伝子組み換えによって、通常の使用では薬害が生ずるような条件においても、その除草剤に反応を示さず選択性を保つこと。
卓効(たっこう) 薬がよく効くこと。
用例):この除草剤は、イネ科雑草に卓効を示す。
治療効果 薬剤が植物体内に浸透し、植物に侵入した菌を殺菌する効果のこと。病害発生初期であれば病害の伸展を阻止できる。主に殺菌剤の効果について用いられる。一般的な「治療」という言葉のイメージとは違い、植物にできた病徴自体はなくならない。
抵抗性 主に殺虫剤と除草剤で使用される用語。農薬のうち殺虫剤、除草剤の有効成分に対して、「農薬使用基準に準じて使用しても、期待される防除効果を発揮できない現象が繰返し観察される、個体群における感受性の遺伝的変化(IRACの定義から)」。
ドリフト 薬剤散布時に、対象とする作物が栽培されている圃場以外に、あるいは目的とする場所以外に散布液が飛散することを言う。
日植調 公益財団法人日本植物調節剤研究協会の略称。「日本植物調節剤研究協会は、植物調節剤(除草剤、生育調節剤、同資材)の開発利用の研究を推進し、その成果の普及を通じて、農林業の近代化と生産性の画期的向上を図ることを目的に、科学技術に関する試験研究を行う民法第34条に定める公益法人として昭和39年11月12日農林大臣の許可を得て、同年11月16日発足した。」 (日本植物調節剤協会HPより)
日植防 社団法人日本植物防疫協会の略称。「日本植物防疫協会は、植物防疫に関する事業の進歩発展を図り、農業生産の安定に寄与することを目的に活動を行う公益法人」(日本植物防疫協会HPより)
主な事業は植物防疫推進事業・調査研究事業・試験事業・出版事業・植物防疫関連資材の販売等・JPP-NETなどがある。
ネクロシス 生理障害や肥料の過不足、病原菌の侵入、農薬の薬害などによる細胞の壊死のこと。→クロロシス
皮膚感作性 化学物質が皮膚と接触して接触性皮膚炎を起こす性質のこと。
防除価 病害虫に対する農薬の試験において、その農薬の効果の高さを評価する指数の一つ。無処理区の被害に対してその被害をどの程度抑えたかを数値化したもので、次の計算式で求める。 防除価=100-(処理区の被害指数/無処理区の被害指数)×100
除草剤の評価には用いられない。
補正密度指数 病害虫に対する農薬の試験において、その農薬の効果の高さを評価する指数の一つ。試験期間中の評価時点における無処理の密度を常に100とした場合の処理区の密度を指数化したもので、単位のない数値で表す。区によって試験開始前の個体数に差がある場合などに用いられる。値が低いほど効果が高く、次の計算式で求める。 補正密度指数=(処理区の所定日数後の個体数/処理区の試験開始前の個体数)×(無処理区の試験開始前の個体数/無処理区の所定日数後の個体数)×100。試験から所定日数後のみの個体数を比較した指数は密度指数と呼ぶ。
除草剤の評価には密度指数含めて用いられない。
有効成分 有効成分病原菌、虫、雑草などの防除対象や生長調整を対象とした作物に対して薬効を発揮する成分のこと。
予防効果 病害発生前に散布し植物を保護しておくことによって、後からの病害の発生を抑える効果のこと。主に殺菌剤の効果について使われる。一般的に予防効果のみの薬剤は、病害発生後に使用しても効果が十分に発揮されない。
リサージェンス 薬剤を散布する事で、防除対象とする害虫だけではなく天敵にも影響し、薬剤の残効が切れたときに当初防除対象としていた害虫がかえって繁殖することをいう。
ローテーション 作用性の異なる有効成分が含まれる農薬を順番に散布していくこと。輪番(りんばん)と同義。

<当記事は2022年5月時点の登録情報や知見に基づいて作成されております>

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