農薬とは

生きるうえで「食」は欠かせません。
1928年の創業以来、
当社が主要事業としてきた「農薬」。
農業の生産現場以外で農薬そのものが目に触れられる機会はほとんどないかもしれませんが、
実は人々の食に大きく関わっています。

病害虫・雑草防除の必要性

単一種の集約的栽培を行う農作地では、病害虫や雑草が発生しやすいという特徴があります。農作物が病害虫や雑草の被害を受け、収量や品質に影響することは、生産者にとって非常に深刻な問題です。そこで、多くの農作地では病害虫や雑草の発生を防ぐ「防除」を行っています。防除が行われることにより、作物は品質と安定的な生産が確保され、最終的には私たちの食卓へと届けられています。

  • 病害虫・雑草防除の必要性
  • 病害虫・雑草防除の必要性

農薬の用途

農薬は農作物等を病害虫や雑草などから防除するための薬剤です。防除の方法は様々にありますが、農薬は広大な農地において効率的に防除を行うことができます。
農薬は殺虫剤や殺菌剤、除草剤など用途別に分類されています。植物成⾧調整剤といって、農作物の成⾧をコントロールする農薬もあります。
「混用」といって、複数の農薬製品を混ぜて使用する場合もあります。
また、農薬は農薬取締法で農作物等に使うものとして定められているため、ゴキブリやハエのような衛生害虫などに農薬を使ってはいけません。用途に合った種類の農薬を適切に使用することが重要です。

用途別の分類
殺虫剤 農作物等を加害する有害な昆虫等を防除する
殺ダニ剤 農作物等を加害する有害なダニ類を防除する
殺線虫剤 根の表面や組織に寄生し農作物等を加害する線虫類を防除する
殺菌剤 植物病原菌(糸状菌や細菌)の有害作用から農作物等を守る
除草剤 農作物等の収量/品質等に悪影響を及ぼす雑草類を防除する
殺虫殺菌剤 殺虫成分と殺菌成分を混合して、害虫、病原菌を同時に防除する
殺そ剤 農作物等を加害するねずみ類を駆除する
植物成長
調整剤
植物の生理機能を増進または抑制して、種子をなくしたり結実を増加させたり倒状を軽減したりする
忌避剤 鳥や獣などが特定の臭い、味、色を嫌うことを利用して農作物等への害を防ぐ
誘引剤 主に昆虫類が特定の臭いや性フェロモンに引き寄せられる性質を利用して害虫を一定の場所に集める
展着剤 添加することで農薬が害虫の体や農作物等の表面によく付着したり、農薬の機能を改善したりする

出所:農薬工業会ホームページより

農薬の開発プロセス

新しい農薬の創製には、研究開発から製品として市場に出るまでに多くのプロセスを要し、10年以上の期間と100億円~150億円近い費用がかかると言われています。
農薬には「登録制度」というものがあり、一部例外を除いて、農林水産省の登録を取得したものだけが、農薬として国内での製造・販売・使用を認めらます。数多くの試験により揃えたデータを基に登録申請を行うと、FAMIC、農林水産省、内閣府、食品安全委員会、厚生労働省といった府省・機関での厳正な審査がなされ、安全性や効果が確認されたものだけが農薬登録されます。登録の基準は国や地域により異なり、その一つひとつをクリアしていく必要があります。

引用:農薬工業会ホームページ「教えて!農薬Q&A」より引用:農薬工業会ホームページ「教えて!農薬Q&A」より引用:農薬工業会ホームページ「教えて!農薬Q&A」より

安全性の確保は、厳密なリスク評価から

一般的に農薬は、散布された後に、蒸発や雨に流されたり、太陽光や微生物などによる自然分解、作物体内の代謝による分解などで、作物の成⾧に伴って薄まっていきます。大部分が自然となくなり、一部については作物に残りますが、様々な規制により人に害が及ばない仕組みになっています。その一つが残留基準値です。国ならびに作物によって、作物に残ることを容認される農薬の限度量が決められています。農薬の使い方は、残留基準値を超えないよう、作物ごとに使用回数や量、時期が細かく決められています。
また、ADI(一日摂取許容量:人がある物質を一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量(mg/kg体重/日))とARfD(急性参照用量:人がある物質を短時間(24時間以内)に摂取しても、健康への悪影響がないと推定される摂取量(mg/kg体重))という基準値も定められています。
その他、土壌残留、水質汚濁による人畜への影響や水産動植物への影響に関する基準が設定されており、農薬の安全は、定められた使用方法を遵守することで確保されます。

農薬の開発から農業生産者まで

農薬が農業生産者の元に届くまでは、大まかに次の図のように表すことができます。ひと言で農薬メーカーといっても、「原体メーカー」「製剤メーカー」など様々にありますが、当社は農薬原体の開発から製剤・製造・販売まで行っています。また、国内の「系統」「商系」いずれにも流通経路を持つ二元メーカーです。

農薬の開発から農業生産者まで農薬の開発から農業生産者まで