NICHINO 日本農薬株式会社

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スマート農業への取組み(2021年度)CSR
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スマート農業への取組み

「日本農薬グループCSR基本方針」では「技術革新による食と環境・社会への貢献」を明確に掲げています。これからの日本および世界の農業の発展においては、農薬だけではなく最先端技術も駆使しながら貢献していくことが重要だと考えています。農薬専業メーカーとして蓄積された多くの知見と経験を活かし、現在、急速に進みつつある高齢化や後継者不足などの構造的な課題を、最先端技術を駆使して解決する「スマート農業」に取り組んでいます。

いち早くスマート農業に着手

スマート農業とは、農林水産省の定義によると、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用し、省力化・精密化や高品質生産等を実現する新たな農業のことを言います。当社では、農業の実情と将来像に鑑み2014年より農業クラウドやAI技術などの新技術開発の調査を他社に先行して開始し、基本ビジネスモデルの構築やパートナー企業の選定など準備を進めてきました。2017年以降は、農林水産省の委託プロジェクトに参画することにより社会的ニーズを掘り起こして現場レベルでの課題解決に取り組んでいます。

推進体制の整備

2019年に関係部署のメンバーからなるバーチャルな「スマート農業推進準備室」を設置して本格的な取り組みを開始しました。さらに2020年には国内営業本部の一部門として「スマート農業推進室」を組織するとともに、事業展開の拡大を図るために組織横断型の「スマート農業推進プロジェクト」を立ち上げて国内外のグループ会社への展開も促進しています。

AI技術活用による画像診断サービス

日本農薬の最大の強みは、長年培ってきた農作物栽培現場における経験と幅広い知見ならびに病害虫雑草防除に関する豊富なノウハウです。スマート農業事業においても、その強みを最大限に活かしながら、主に大規模生産者向けに農薬販売を基軸としたトータルソリューションを提供していきます。その核となるサービスが、AI技術を活用した病害虫雑草の画像診断です。2020年4月には、スマートフォン用アプリ「レイミーのAI病害虫雑草診断アプリ」の無料配信を開始しました。

AI技術活用による画像診断サービス画像

診断対象作物の拡大

当初、診断対象作物は水稲からスタートしましたが、順次、診断対象作物が追加され、現在では、キャベツ・はくさい・ブロッコリー・レタス・ねぎ・トマト・きゅうり・なす・いちごが加わり10作物での診断が可能となっています。今後さらに対象作物を拡大していきます。

幅広いユーザーの開拓

ユーザーの約4割以上が生産者とJA関係者ですが、農業分野での関心度はますます高くなっています。新規就農者や経験の浅い生産者の生産効率化に貢献しているばかりでなく、熟練生産者にとっても病害虫雑草発生のデータベースとして活用できることから防除見直しの参考になっています。

新たな展開、ドローンとの組み合わせ

2021年、新たな展開として民生用ドローンと空撮技術の世界的リーディングカンパニーであるDJI JAPAN(株)と技術提携しました。この提携により、DJIのドローンで上空から圃場の異常を検知して「レイミーのAI病害虫雑草診断」と組み合わせることで、最適な防除に繋がるソリューションの提案を目指しています。また、搭載量が制限されるドローンでの散布に適した除草剤・殺虫剤・殺菌剤等の開発も進めています。

日農AI防除支援システムの構築

スマートフォン用アプリをベースにドローンの活用をはじめとしたセンシング技術や圃場管理クラウドとの連携を進め、「日農AI防除支援システム」を構築してまいります。さらに病害虫雑草管理の完全デジタル・スマート化による新たなソリューション展開を目指すとともに、ここで蓄積された防除データを活用したデジタルマーケティングや防除情報提供など新たなビジネス展開に繋げてまいります。

診断・防除提案のスマート化

今後の展開

現在「レイミーのAI病害虫雑草診断」は、価値観を共にする農薬メーカー3社(日産化学(株)、日本曹達(株)、三井化学アグロ(株))と共同で普及を進めています。引き続きAIの再教育やユーザーの皆様方との協働を通じて診断結果の正答率の精度向上に取り組んでまいります。なお、対象作物を2023年までに19作物まで拡大する計画です。また、アプリの多言語化を進め、インド・ベトナム・台湾等アジア地域での展開を計画しています。これからも最先端技術を駆使しながら、日本および世界の農業の発展に寄与し、よりサステナブルな社会づくりに貢献してまいります。

特記:スマート農業推進室の活動

農業現場においてスマート農業の活用が進む中、将来の担い手のためのスマート農業教育の充実も求められています。スマート農業推進室では、農業高校や大学において実際の「レイミーのAI病害虫雑草診断」アプリを使用した講義や実習を行い、未来の農業の担い手育成など社会の重要なニーズにも積極的に貢献しています。

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