環境保全
第二次世界大戦後の急激な重化学工業の発展の負の遺産としての環境問題は、企業側に大きな反省を惹起して様々な対策や技術革新による解決が達成されてきましたが、引き続き多様な課題を内在しています。化学業界の中でNICHINO グループの主な事業分野は自然環境と密接に関連していることから、環境保全は将来的にも重要な項目と言えます。研究開発や製品ライフサイクルにおいて、法令遵守や農薬登録制度との関連において環境コンプライアンスの適切な管理に取り組んでいます。
生物多様性への配慮
農薬は病害虫や雑草への効果だけではなく、農薬使用者、農作物の消費者に対する安全性と農地周辺の自然環境への配慮も求められています。当社グループでは、国内外の法令遵守はもちろん、最新の科学的知見を活用し、「環境・安全・健康」により一層配慮した農薬開発に取り組んでいます。ニチノー緑化では、同社製品や雑草管理の技術を活かし、栃木県那須烏山市の「産官学による里地・里山再生プロジェクト」に参画し、里山保全を通じて生物多様性に貢献しています。また当社ではクロップライフジャパン(旧名称:JCPA農薬工業会)が主催する「蜜蜂フレンドシップ計画」に参画し、蜜蜂をはじめとした訪花昆虫(花を訪れる昆虫)が好む植物を一部の事業所内で栽培し、訪花昆虫に適切な生息地を提供しています。引き続き、当社グループ各社、各事業所で生物多様性に貢献する取り組みを検討、推進していきます。
水の保全
当社グループでは、生産の効率化、節水およびリサイクル等を通じた水の使用量削減に取り組んでいます。また、排水の処理・水質管理等を徹底し、法定の排水基準値、工場・研究所が所在する地域の条例等の基準値を遵守しています。国内では排水について法定の基準よりも厳しい自主管理値を設定し、基準値を超過しないように管理しています。
廃棄物削減への取り組み
当社グループでは3R(リデュース、リユース、リサイクル)に積極的に取り組んでおり、ニチノーサービスではゼロエミッション*を推進しています。一部の製品ではお客様ニーズに合わせて複数の規格を用意し、お客様の必要最適な量の購入を通じて廃棄農薬や容器包装の削減に取り組んでいます。アグリマートでは2023年度に使用実態に合わせて一部製品を500gから1kgに規格変更し、プラスチック使用量の削減に取り組んでいます。またグリーン購入(廃棄物削減を含め環境負荷低減に努めている商品やメーカーから資材を購入)による廃棄物削減に注力し、グリーン購入ネットワークに加入しています。2023年度は国内グループ全体でグリーン購入率99.9%を達成し、目標(95%以上)を達成しました。引き続きグループ一丸となって廃棄物削減に取り組みます。
* 廃棄物最終処分量が発生量の1%以下。
原材料への取り組み
当社グループの一部製品では、植物由来のバイオマスインキや米ぬか由来のライスインキを用いた製品包装を使用しています。一般的なインキに用いられる原料は主に石油由来のものであり、バイオマスインキやライスインキに置き換えることで石油資源の使用量抑制につながります。この他、当社グループでは「NICHINO グループ調達基本方針」、「NICHINO グループグリーン調達基準」を定め、環境に配慮した資材調達を行っています。
環境トラブルへの対応
当社グループは、グループ各社で発生したトラブル事例をグループ内で随時共有し、これらを教訓とした再発防止策や改善の取り組みをグループ内の他事業所にも展開するとともに、環境教育を実施しています。
環境アセスメントの取り組み
当社グループでは、レスポンシブル・ケア活動やISO14001(環境マネジメントシステム)を通じた環境アセスメントに取り組んでいます。環境法令および条例や地域協定などの遵守を徹底し、周辺への騒音・悪臭・振動などにも配慮した事業活動を推進しています。
Scope3排出量
当社グループでは、国内のCO2排出量につき従来からScope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)、Scope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)を開示しており、2020年度からは、製造拠点のあるインド、ブラジルを含めたグローバルのCO2排出量も開示しています。
さらに国内*では2021年度から、海外**では2022年度からScope3(Scope1、Scope2以外の間接排出、企業のバリューチェーンにおける排出量)についても算定し、開示しています。
*:日本農薬および製造拠点を有する国内グループ会社
**:製造拠点を有する海外グループ会社
TOPICS
職場や家庭での環境保全への取り組み推進
環境法規の周知徹底、職場や家庭での環境保全への取り組み推進を目的に、環境安全関連の情報をまとめた「NEWS環境安全」を環境安全・品質保証部が年3回発行し、全従業員に情報提供しています。
地球温暖化対策
6月5日の「環境の日」に合わせ、従業員に環境保全への意識啓発を行っています。一人ひとりが身近な行動、家庭での取り組みを通じて地球温暖化対策を考えるきっかけとなるよう推進しています。
プラスチック削減
個人でできるプラスチック削減行動について「NEWS環境安全」などを通じた啓発活動を行っています。また職場での取り組みとして再生プラスチック製品の購入等、環境負荷低減に配慮した物品の購入を推進するグリーン購入に取り組んでいます。