人権への取り組み
NICHINO グループにおける人権経営の基本的な考え方
NICHINO グループ(以下、当社グループ)は、人権尊重を持続的な事業推進のためのもっとも重要な経営課題の一つと位置付け、全ての人々の国際的に規定されている人権を尊重するとともに、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」および「グローバル・コンパクト10原則」に則った事業活動を推進しています。当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーに対して人権尊重の責任を果たしていきます。
2030年のありたい姿
NICHINO グループ全従業員が全ての人々の人権と、多様な価値観を尊重し、差別や偏見のない社会の実現に貢献している

| 人権経営における重要課題 | 中長期的な取り組み内容 |
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| 2024年度の実績 | 2025年度の計画 |
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人権経営の推進体制
当社グループの人権経営は、当社代表取締役社長が全体の監督責任を負い、当社管理本部長を実行責任者として推進しています。また、人権尊重の取り組みを体系的かつ機動的に進めるため、サステナビリティ委員会の傘下に人権部会を設置しています(図1)。人権部会は、関連部門が参画する組織横断の体制で構成しており、3つの関連委員会とも連携しながら運営しています(表1)。
図1: 人権経営の推進体制

*1: グループ会社の事業責任部署である経営企画、生産、外販の各本部(国内)、海外営業本部(海外)と協働
*2: コンプライアンス委員会事務局
*3: リスクマネジメント委員会事務局
*4: サプライチェーン管理主管部
*5: レスポンシブル・ケア委員会事務局
国連指導原則に基づく人権尊重プロセスへの対応
当社グループは、国連指導原則を反映した国内基準として政府が公表した3つの資料*1を踏まえ、企業が果たすべき人権尊重の行動プロセスに沿って取り組みを進めています。
*1: 「ビジネスと人権に関する行動計画 (2020-2025)」(ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議 2020年)、今企業に求められる「ビジネスと人権」への対応(法務省人権擁護局 2021、2024)、「責任あるサプライチェーン等における 人権尊重のためのガイドライン」(関係府省庁政策推進・連絡会議 2022)
1. 人権方針の策定
当社グループは、サステナビリティ基本方針に基づく人権経営の拡充にあたり、それまでの人権基本方針(2021年5月制定)の適用範囲および内容を一層具体化し、「NICHINOグループ人権方針」を新たに策定しました(2024年4月)。
2. 人権デュー・ディリジェンス
ビジネスと人権における負の影響(人権侵害リスク)に関する検討
・日本農薬における人権侵害リスクの特定
人権部会事務局において、従来の事業リスクマネジメントのうち人権に関するリスクの洗い出しを実施しました。さらに、当社全従業員による人権リスクに関する職場討議、当社労働組合との意見交換、外部専門家との面談等を行い、網羅性と客観性を確保しながら人権侵害リスクの特定を進めました。その結果、18項目の人権侵害リスクを特定し、影響を受けるライツホルダーとの関係性を整理しました(表2)(2024年度)。

*影響を受けるライツホルダーの分類
従業員:当社グループ敷地内で働く全従業員。請負業者、業務委託者等を含む
ビジネス関係者: バリューチェーン全体(サプライヤー・顧客・事業関係者)
その他: 地域住民・一般消費者・一般市民
・日本農薬における人権侵害リスクの重要度分析と対策
特定した18項目の人権侵害リスクについて、政府ガイドライン*2の判定基準に基づき重要度分析を実施しました(2024年度)。また、全ての人権侵害リスクについて、各関係部門と連携して既往の対策状況や今後の取り組み方を共有しています。なお、特に深刻度が高いと判断された5項目について、具体的な対応状況を整理しました(表3)。
*2: 責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料(2023)


・グループ会社における人権侵害リスクの確認
国内外のグループ会社に対する人権経営の展開策として、日本農薬が特定した18項目の人権侵害リスク(表2)について、各社における該否状況を調査しました。その結果、各社特有の事業内容や地域性に起因するリスクが一定程度確認されたものの、最終的にはすべて18項目のいずれかに集約できることを確認できました。また、現時点で新たに追加すべき人権侵害リスクは認められず、既存の18項目で網羅されていることを確認しました(2025年度)。
・グループ会社における人権侵害リスクの重要度分析と対策
重要度分析の結果、日本農薬と共通する人権侵害リスクが多くのグループ会社で上位を占める一方、各社のビジネス形態・規模、国情や地域性の違いにより、優先度や対応状況には固有の特徴が見られました。なお、国内外のグループ会社において重要度が高いと判定された主な項目(表3以外の項目)は以下の通りです(表4)。今後は、各社の特性に応じて優先課題を再整理し、各社の実情に応じた取り組みを段階的に強化します。
表4: 国内・海外グループ会社において重要度が高い人権侵害リスク
| グループ会社 | 重要度が高と判定された主な項目(表3以外:抜粋) |
|---|---|
| 国内(4社)* | 長時間労働、BCP対策の不備、優越的地位の濫用、プライバシー侵害 |
| 海外(10社)* | 長時間労働、BCP対策の不備、プライバシー侵害、知的財産権の侵害、贈収賄・腐敗、差別、児童労働・強制労働、救済メカニズム不全、結社の自由・団体交渉権の侵害 |
*国内4社:ニチノー緑化、ニチノーサービス、日本エコテック、アグリマート
*海外10社: Nichino America, Inc., Nichino Europe Co., Ltd., 日佳農葯股份有限公司, Nichino do Brasil Agroquimicos Ltda., Nichino India Pvt. Ltd., Sipcam Nichino Brasil S.A., Nichino Vietnam Co., Ltd., Nihon Nohyaku Andica S.A.S., Nichino Korea Co., Ltd., Nichino Chile SpA
3. 救済メカニズム
当社および国内外のグループ会社では、全役職員を対象とした内部通報制度を設置しています。また、2025年度には、サプライチェーン上の人権侵害リスクに関する外部通報・相談窓口(お問い合わせフォーム)を設置しました。あわせて国内グループ会社にも設置を要請し、国内グループ会社4社においても、2025年度内の窓口整備を進めています。現時点で通報・相談の実績はありませんが、今後は窓口の周知や利用しやすい環境整備を進め、実効性の向上に取り組んでいきます。来年度以降は、海外グループ会社についても、所在国の法規制や対応体制等を踏まえながら、主要会社を中心に窓口設置や多言語対応を順次整備する予定です(表5)。
当社は、人権デュー・ディリジェンスと救済メカニズムを一体的に運用し、人権尊重の取り組みを継続的に推進していきます。
表5: グループ会社における窓口整備状況
| グループ会社 | 整備状況・予定 |
|---|---|
| 国内(4社) | 3社が設置済み、1社は2025年度内に設置予定 |
| 海外(10社) | 2025年度は現地調査を実施 2026年度より、主要会社を中心に順次整備(多言語対応含む) |
人権尊重プロセスに共通する取り組み
日本農薬では、政府が公開した人権尊重プロセスの改訂*3を踏まえ、人権部会の推進体制と機能を見直しました(2025年度)。これにより、効果的かつ一貫性のあるプロセスとして推進できる体制を強化しています。
*3: 今企業に求められる「ビジネスと人権」への対応(法務省人権擁護局 2024)
1) 教育・研修の実施
当社グループでは、人権尊重に対する正しい理解と認識を深めることを目的に、役職員に対して人権侵害リスクに関する啓発活動を継続的に行っています。コンプライアンス研修、メールマガジンの配信に加え、社外セミナーの受講推奨等など多様な機会を通じて知識の向上を図っています。また、DE&Iの推進においては、ダイバーシティ確保の重要性や期待される効果についての理解を深め、組織全体への浸透に努めています。
2) 社内環境、制度の整備
当社グループでは、人権侵害リスクの要因となりうる長時間労働や差別、偏見を生まない職場環境の整備に取り組むとともに、多様化する働き方に適正に対応するため、公平性の高い人事制度の整備と公正な運用を進めています。
3) サプライチェーンにおける人権確保
当社グループでは、サステナビリティ調達の観点からサプライチェーン全体を通じた人権尊重の取り組みを包括的に推進しています。国内においては、グローバルコンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)が提供するCSR調達セルフ・アセスメント質問表(SAQ)を活用して、取引先の状況把握とリスクの確認に取り組んでいます。
4) ステークホルダーとの対話と情報開示
当社では、外部有識者との意見交換や労使協議会での協議、適時適切な情報開示を通じて、多様なステークホルダーとの対話や協議を継続して行っています。2024年2月の労使協議会では、人権方針策定に向けた協議を実施し、同年8月と2026年1月の労使協議会では、人権経営(デュー・ディリジェンス進捗)について議論しました。今後も、ステークホルダーとの建設的な対話を通じて、人権尊重の取り組みを着実に推進してまいります。








